差し出されたキャラメルと飛行機と

無の数日だった。身体的な疲れもあったけどもっと別のところがあれな感じだった。

 

飛行機に乗った。
左隣の2席に親子が座っていて私は窓側に座っていた。外を見てると勝手に時間が流れて天にでもいるような気持ちになるからいつも窓側を選ぶ
親子は身体を乗り出して小さな窓から外を何度も覗き込んではスマートフォンで沢山写真を撮っていた。
私にはその親子の姿も、窓から差し込む光も全てが眩しくてクラクラした。
安全ベルトの解除サインが出たので「もし良かったらお子さんとお席を交換致しましょうか」と声を掛けてみた。
たった1回のフライト。飛行機は色んな人の色んな思いを乗せている
私にとっては眩しくて嫌になる日差しも途方もなく続く空の広さや青さも、誰かにとってはかけがえのないキラキラした思い出になるのかもしれない
そう思ったら自然と口から言葉が出ていた。
女の子は照れくさそうに首を振って、お母様からトイレにすぐ行けないといけないので大丈夫です。と丁寧に断られた。トイレにも行きやすくて外も見やすい席があったら良かったのになあなんて思いつつ私は眩しい光に照らされながら本を読み進めた。
その後少ししてから女の子が小さな袋を出してお菓子を食べ始めた。
女の子のお母様を挟んだ先の席から細くて小さい手がひょいと伸びてきた。
見上げるとそこにはダッフィーのポシェットを下げたニッコリ笑う女の子がいて無言で白いキャラメルが差し出された。

無に落ちてた心がほんの少しだけふわっと軽くなったのを感じた。
ありがとうと出来る限りの笑顔で答えてキャラメルを口に入れた。
甘くてちょっと酸っぱかった。
キャラメルの包み紙を自分の母親みたいに受け取ってくれた女の子のお母様にも優しさを感じた。

思いと思いが何となく交わされた気がして嬉しくなった。
正直この飛行機に乗るかとても迷っていた。だけどどこに行けばいいかも分からなくてどうしたら良いかも全然分からなくて チケットを取ってしまっていたからええい もう知らん分からん とりあえず乗ってしまえと思って乗ったんだけどこの飛行機に乗ってよかったと心から思った。
その後にお母様と外の景色を見ながら少しお話しをした。
夕陽と一緒にディズニーランドがとても綺麗に見えてこんなに綺麗に見えるなんてビックリとかそんな話し。ご家族にとって楽しい旅行になったらいいなと思う。

 

失敗も絶望も崩壊も喪失も全部怖い
怖くて怖くて仕方がないのだけどそれでも私たちは生きていくしかない。
死なない限りどんなに辛いことがあっても明日はやってくるし明後日もやってくる。その先も平然と日常は続いていく。
失敗しても絶望しても崩壊しても何かを失ってもまたそこからやっていけばいいかなあと今は思っている
数ヶ月の前の私だったら、死にたい死にたい死にたいもう死んだ方がいい一刻も早く死なせてくれことある事に言っていたような気がする。
最近死んじゃうのは勿体無い気がしている。楽しいことやワクワクすることにこれからもきっとまだまだ出会うはずだ。だから死ぬのは勿体無い。寿命までなるべくしんどい事はせずに漂うに生きていきたい

 

私は今を生きている。
生まれた瞬間から時を刻み続けてぐにゃぐにゃ形を変えながら私が私となって存在している。価値観も考え方も言動も出逢う人や環境によってぐにゃぐにゃ変化していく。
一昨年の自分、去年の自分、先月の自分、昨日の自分。本当に毎日ぐにゃぐにゃと形が変わっていってると思う。ふと比べてみると驚くほどに変化してる。
それもこれもどれも私だから「良く今日まで死なずに生きてきたな」って自分だけは自分を褒めてあげたい。優しく抱きしめてあげたい。
死ねなかったのか死ななかったのかよく分からないけど、いま生きているという事実それが全てだ。とても偉い。
グチャグチャになりながらもどうにか生きようと良く頑張ったと思う。
自分を破壊して心も身体もぶち壊していくことでしか生きれなかった私がここまで思えるようになったのは本当に奇跡だ。宝くじが当たって億万長者になるよりも凄い。人生における革命のようなものが今も起き続けている。
それもこれも、えらいてんちょうやえもいてんちょうやカイリュー木村さんやしょぼい喫茶店を応援してくれている人たちがいたからだ。それに加えて生き地獄から抜け出したいとジタバタもがいた自分のおかげもちょっとある。良く死ななかったと思う。よく生き残ったと思う。

色んな物差しがあるからそれから外れてしまうことがこれからもあるだろう
だけど私は私らしく生きていける場所で出来る限り思いと思いを人間同士で交し合える世界にいたいと思う。
みんな違う部分がある。理解し合えないこともあるかもしれないけど多様性を認めることは出来るはずだ。今まで出逢った人たちとこれから出逢う人たちを大切に大切にしながらのらりくらりやっていけたらいいなと思う。しんどい事もあるけど楽しいこともこれから沢山待っている。

みんなで生きていきましょう